1. “フツー”の中に無理に留まる必要はない。ハブられ経験者の漫画家・鳥飼茜が語る自分らしさの作り方<後編>

“フツー”の中に無理に留まる必要はない。ハブられ経験者の漫画家・鳥飼茜が語る自分らしさの作り方<後編>

編集部企画

現在37歳の鳥飼茜さんは、平凡な日常生活を鋭い視点で切り取り、

自身も通ってきた10~20代の女性が抱える悩みを描いてきた漫画家の一人。

多くの女性の共感を集める鳥飼さんに、“自分らしさ”について訊ねてみました。

前編はコチラ。

主張すれば恐怖メーターは下がる

    ――SNSによって簡単に自分の意見を世の中に投げ込める時代になりました。

しかし、多くの発信者は共感を得たいという期待と同時に、

逆に仲間外れにされるんじゃないかという恐怖を抱えているのではないかと思います。

鳥飼:主張をするということは自分と違う他人を攻撃するということでもあると思うんです。

でも、ハッキリと主張をすれば“フツーの世界”から遠ざかって、

恐怖メーターはゼロに向かいますよ! いっそそういう生き方も私はありだと思う。

孤立して初めて気づくことがある

――孤立しちゃえと?

鳥飼:私は中学二年生の時に“ハブられ”たことがあるんですよ。

個性を出しだのとは逆で、八方美人だったのが原因で。

ザ・フツーだった私は、2つの派閥にいい顔をしようとして、ボスに呼び出されて……。

私の“フツーの学生生活”は終わったなって思いました(笑)。

その日からハブられて、学校に行くのがめちゃくちゃ怖くなって、

母親に『ハブられていて学校に行きたくないから休みたい』って言ったんですよ。

そしたら『アンタの態度が原因なんだから、アンタが悪い。休むかどうかは、そのコ謝ってから決めなさい』って叱られて! 

「えっ!? 休ませてくれないんだ」って絶望ですよ(笑)

――怖っ! 学校生活のある種閉鎖的な空間の中で孤立するのはつらいですよね。

結局、そのボスには謝りに行ったんですか?

鳥飼:謝りに行きましたよ(笑)。そしたら「別にいいけど」で終わって、まあ、居心地は悪いですよね。

でも、孤独して初めて、全員と仲良くしたいわけじゃないことに気が付いたんです。

用事があるときは必要だけど、御機嫌取りまでする必要なんてないじゃんって。

 

孤独に戦うのでなく、“私たち”という考え方を持つことが大切

――いっそ新しい猿山のボスになろうとは思わなかった?

鳥飼:なれる人は勝手になってるって(笑)。

 

――孤独というのは、他人(相手にとっての“ウチら”)とは違うということで、

それを吹っ切って生きるには強いメンタルが必要になるんじゃないかと思います。

鳥飼さんは、開き直った後はもう怖くなったんですか?

鳥飼:中学生のメンタルは未熟だから、他人と違うこと自体は恐怖でした。

でも八方美人をやめて周囲を見るようになって親友と呼べるような友達ができたり、

私服高に進学したりしたことで平気になりました。

それに中高に限らず、大人になっても“ウチらの世界”ってあるんですよね。

みんな平坦になることを求めてくる。その仕組み自体から逃れることはできないんです。

 

――我々を均一にならそうとする仕組みには、従うか、孤立覚悟で抗うかの二択しかないのでしょうか。

鳥飼:孤独に戦うのでなく、“私たち”という考え方を持つことが役立つかもしれません。

出る杭は打たれる。でもそのときに向けられる言葉や視線は、私という“一個人”ではなく、

尖った杭である“私たち”向けられたものと考えるだけで、心がフッと軽くなるから。

本当は『私も最高だし、おまえも最高』ってなれたらいいんですけどね(笑)。

 

●鳥飼茜(とりかい・あかね)プロフィール
‘81年、大阪府生まれ。’84年デビュー。『地獄のガールフレンド』(全3巻、KADOKAWA)、『先生の白い噓』(全8巻、講談社)を代表作にもつほか、近刊に『前略、前進の君』(小学館)、『マンダリン・ジプシーキャットの籠城』(KADOKAWA)がある。漫画だけでなく、『鳥飼茜の地獄でガールズトーク』(KADOKAWA)、『漫画みたいな恋ください』(筑摩書房)など、文筆業も精力的にこなす