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【連載第3回】おすぅの妄想songsデート~芝公園編~

潜入調査

毎回とあるスポット×歌をテーマに、おすぅが妄想デートを繰り広げていく『妄想songsデート』

第3回目の2人は、中学3年生から付き合っている24歳。

就職を期に上京した彼女と、地元名古屋で働く彼の遠距離カップルのお話です。

■Date2.『たまにはあの頃みたいな純粋さで』

-songs : つつみこむように / MISIA -

『今日急遽時間が出来ちゃったから、これから弾丸で会いに行ってもいい?笑』

寝ぼけ眼でLINEを見て、思わず飛び起きた日曜日10時。

どうやら彼は名古屋から新幹線に飛び乗って、ここ東京に向かっているらしい。

ああー、今日予定を入れて無くて本当に良かったあ…。

外の雨とは裏腹に、私の気気分は晴れ模様。

■14:20 彼からのリクエストで、待ち合わせは芝公園。

気づいたら雨が上がっていて、傘を畳んで彼を待つ。

「部屋の掃除をしていたら、卒業アルバムが出てきてさ。

そういえば修学旅行で東京タワー行ったなあと思って懐かしくなっちゃって。」

って指定された待ち合わせ場所。

ふと顔をあげると、傘を差したままの彼がやってきた。

雨、もうやんでるんだけどな。3ヶ月ぶりの彼は、相変わらずの無邪気な笑顔。

「わ、東京タワーまじで修学旅行ぶりだ。」

「ここでデートなんて、めちゃくちゃベタじゃない?」

「いいじゃん、たまにはさ。」

今日は、ちょっと初々しい気持ちを思い出す日、みたいです。

■14:40 『ル・パン・コティディアン』で遅めのランチを。

遅めの昼食は、雑誌で読んで以来ずっと行ってみたかった『ル・パン・コティディアン』へ。

ここは、"シンプルな食事"がモットーの、お洒落なベーカリー。

店内に入ると、ふわっと素朴なパンの香りに包まれて、それだけでもう幸せ。

テイクアウトはもちろん、店内で食事も出来るみたい。

彼は、ブッシャ―ズランチを、私はチキンコブサラダを。

緑の綺麗な窓際の席で、普段は食べないようなおしゃれなランチ。

なんだかちょっとむず痒いね。

「俺たちモデルみたいな食事してるよ、今。」

なんて他愛もない話をだらだらするのも、久しぶりなあ。

目の前でパンオショコラを頬張っている彼に、こんなに幸せを感じるなんてね。

 

ル・パン・コティディアン
〒105-8560 東京都港区芝公園3-3-1
営業時間:7:30 - 22:00 (21:00 L.O.)

■15:50 増上寺で、9年前の思い出話。

すっかりおなかいっぱいになった私たちが次に向かったのは、お店のすぐ横にある『増上寺』

そう、修学旅行で回ったコースです。

「やばい、俺中学生に戻った気分!」

って隣でめちゃくちゃはしゃいでる彼を横目に、9年前を思い出してみる。

そうそう、あの時は付き合って3ヶ月くらいのタイミングで修学旅行があって、

クラスの子に気を利かせてもらって自由行動の班を同じにしてもらったんだっけ。

「そういえばさ、あの時お願いした内容覚えてる?」

わ、やめてよ思い出しちゃったじゃんか。

「『ずっと一緒にいられますように』ってやつ(笑)若いよねえ、純だね。」

子供の頃に交わした無垢な約束も、大人になった私たちにはちょっと眩しすぎて。

笑って誤魔化しちゃう自分が、少し寂しい。

 

増上寺
〒105-0011 東京都港区芝公園4-7-35
本堂:6:00~17:30
安国殿:9:00~17:00

■16:40 修学旅行ぶりの、東京タワー。

芝公園を散歩しながら、辿り着いたのはやっぱり東京タワー

まだ17時前だというのに、秋は暗くなるのがあっという間だ。

「確かこのお土産やさんであいつがさ~…」

「そういえばエレベーターで騒ぎまくって先生に怒られたよね~…」

って、9年前のくだらない思い出話に花を咲かせながら、上った展望台。

目の前に広がる東京の景色に、どうしようもなく胸がときめく。

「私、この青い夜の東京が本当に好きなんだよね。」

こぼれた言葉に、彼がふっと笑う。

「本当に変わらないね、9年前と同じこと言ってるよ。」

あれ、そうだっけ。

「大人になったら東京に住みたいの、って(笑)実現して良かったね。本当に。」

優しい顔で言う彼に、ちょっと切なくなったりして。

遠距離開始から、2年。

東京で夢を叶えたい私と、地元で頑張っている彼。

いつか終わりが来ることを覚悟しなきゃいけないってことには気づいているんだけどさ。

好きだけじゃどうにもならないこともある、っていうのは、大人になってから知りました。

 

東京タワー
〒105-0011 東京都港区芝公園4丁目2−8
営業時間:9:00~23:00 (メインデッキ)

■19:45 東京駅。お見送りは強がり気味で。

弾丸のように来た彼は、弾丸のように帰るらしい。

明日からまた東京と名古屋、それぞれの生活が始まる。

結局いつも寂しいくせに、「遠距離なんて慣れたもんですよ」って感じであっさりお見送りをしようと努める私は、我ながらめんどくさい。

「最初の頃は手ふりながら泣いてたくせに、ずいぶんお姉さんになっちゃって。」

「もういい大人だからね。」

ほら、こうやってまた強がっちゃう。

「いいんだよ、無理に大人にならなくて。感情のままにいなさいよ。

確かに、先の事は分からないけどさ。

お互いを応援して、想い合ってるうちはそれでいいんだと思うよ。」

はっとして隣に視線を向けると、全てお見通しです、みたいな顔。

うーん、確かにそうかもね。

今は、恋人と呼び合える時間に身を任せようかな。

15歳の私のような晴れやかな気持ちで、N700系に手を振った。


♥Date Song : つつみこむように / MISIA♥

次回の更新もお楽しみに!

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おすぅ

fasme編集部のご意見番。 ライター&広報・セールス担当。 バブル時代に生まれたかった人です。 好きなものは、都会とはしご酒! 色か柄の主張が激しい服しか着ていません。